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オンリー・ゴッド のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 オンリー・ゴッド
製作国仏,デンマーク
上映時間90分
劇場公開日 2014-01-25
ジャンルドラマ,サスペンス,犯罪もの,バイオレンス
レビュー情報
いやあ、ひさしぶりに変ッな映画だった。
明らかに屈折した「何か」を抱えつつ、バンコクの暗黒街を牛耳る兄弟。
わけも分からぬまま、狂気に取り憑かれたように暴挙に出た兄が、問答無用の制裁により惨殺される。
兄への偏愛に狂う母親に命じられるままに、復讐に駆り出される弟。
と、プロットだけを見ても、その偏執さは漂ってくるけれど、この映画は観客のその想定をも暴力的に壊してくる。

主人公の精神そのものを投影するかの如く、冒頭から各シーンの描写が倒錯する。
これは現実か?幻想か?自分が今観ているものは何なのか?まるで分からなくなる。
羅列されるシーンの一つ一つにおいても、描かれ方が“どうかしている”。
過激な暴力描写は嫌悪感を覚えるほどに凄惨で遠慮がない。
だがその反面、すべてのシーンに美しさを感じ、ときに恍惚としてしまうことも否定できない。

暴力の螺旋と、それに伴う罪と罰。
奇妙な“神”の如き存在を目の当たりにして、血塗られた両の腕を遂に差し出す主人公。
彼が迎えたラストにあったのは、絶望か、救済か。
一説によると、公開版のラストシーンの後に、主人公とヒロインが仲睦まじく“暮らす”シーンの撮影もされたらしいから、やはり彼は“血”によって宿命づけられた地獄から抜け出せたのだろう。

ただし、いかんせんそんなことは、この映画だけをフツーに観ていただけではまるでわからない。

偏執的な支配は、神によるものか、それとも悪魔によるものか。
おぞましくも美しい狂気と暴力の錯綜と混沌。
いくらそれっぽい言葉を並べ立てようとも、無意味だ。
いやあ、やっぱりわっけわかんねえ。

安易な「理解」など諦めて、奇妙な神の如く、無表情のカラオケに興じるべきかもしれない。
鉄腕麗人さん [インターネット(字幕)] 7点(2017-07-18 22:35:55)
その他情報
作品のレビュー数 11件
作品の平均点 4.73点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 1.81
このレビューの偏差値 56.91
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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