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楽器を持たないパンクバンド“BiSH”の2017年当時の軌跡を追ったドキュメンタリー。
念の為最初に言っておくと、僕はれっきとした“清掃員”(BiSHファンの総称)なので、偏ったレビューになっていることは否定しない。あしからず。 エリザベス宮地という、現状ほぼBiSH及びその所属事務所WACKの関係者に位置する映像作家の作品なので、かなり内向きで、揶揄すればマスターべション的な作品に仕上がっているのであろうと「予感」していた。 そして、その予感は概ね外れていなかった。いやむしろ、この作品はBiSHのドキュメンタリー作品というよりも、エリザベス宮地という映像作家が「BiSH」という“沼”にズブズブとはまり込んでいく様を追ったセルフドキュメンタリーであり、もっとダイレクトに「自慰的」な作品だった。 おそらく、“清掃員”でない人間、もしくはBiSHファンになる可能性が1ミリも無い人間が この作品を観たならば、「気持ち悪い」の一言で一蹴されることは間違いなかろう。 しかし、「BiSH」を知って約3年、大袈裟ではなく彼女たちの楽曲、動画を視聴しない日は無い者にとって、この作品で描き出される一人の男の「醜態」と言ってしまってもいい無様な一部始終は、ただただひたすらに胸を熱くする。 そんな自分自身の無様さも俯瞰しつつ、よくよく今の世の中を見回してみたならば、この世の中、“それ”を本当に欲している人たちに作られていないものが多すぎる、と思う。 その「作品」は一体誰のためのものなのか、と疑問と不満を抱えることが極めて多い。 そんな中で、このドキュメンタリーは、独りよがりで、極めて“個人的”な映像記録に終止している。 でも、だからこそ、この作品は多くの“清掃員”にとって、欲すべきものになり得ているのだと思う。 だからこそ、すべての“清掃員”が、こう思ったに違いない。 ズルい。羨ましい。ズルい。と。 2021年、この夏、彼女たちは「不在」だった。 例によってコロナ禍による影響で、昨夏に続き、ツアーやフェスはことごとく中止。極めつけは、メンバー3人がコロナ感染により休養を余儀なくされた。 ただ、今の時代、リアルタイムの露出が無くとも、“推し”の活躍を追うことはいくらでもできる。 過去に遡って“掘り起こす”楽しみ。それがオタ活の醍醐味だろう。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(邦画)] 8点(2021-08-30 23:48:35)
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