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ズバリ面白かった。バイオレンス系のアクション映画において、日本映画は長らく韓国映画界に大きな溝を空けられていたが、本作はその状況に対するカウンターパンチになり得る一作だったと思う。
原田眞人監督、岡田准一主演ということで、一定のクオリティは期待していたが、バイオレンスアクションとしてこれほど突き抜けた映画世界を見せてくれたのは予想外だった。 岡田准一自身が主導したと思われるアクションシーンには、彼の得意分野である柔術が多分に盛り込まれ、それが裏社会の暴力として昇華されている。 実際、裏社会の人間があれほどまで地道に訓練し、体技を仕込むのかと言われれば疑問符は残るが、それも含めてこの映画ならではの娯楽性と捉えることができたし、それを違和感として感じさせない世界観の構築が見事だったと思う。 主人公が元警察官という設定を踏まえると、この男が柔術を主体とした暴力で裏社会をのし上がっていくという描写にも不自然さは感じられなかった。 こうしたアクション映画としての娯楽性や説得力を土台に展開される裏社会の人間たちの狂騒劇が独特で面白い。 主要キャラクターの中には、善人や真人間と呼べる者は一人もおらず、文字通り修羅の中に巣食う狂人たちの人間模様こそが、数々の韓国映画の傑作に匹敵するほどの映画的なパワーを醸し出していたと思う。 曲者ぞろいの登場人物の中でも、特に異彩を放っていたのは坂口健太郎演じる“サイコボーイ”室岡だ。これまで柔和な役柄しか見たことがなかっただけに、この俳優がこれほどイカれたキャラクターを演じきったことにまず驚かされ、新鮮だった。 本作の真のテーマは、岡田准一演じる主人公と坂口健太郎演じる室岡の人間関係から生まれるホモソーシャルでもある。その点からも、坂口健太郎がベストアクトを見せたことは、本作のクオリティを支えた核だった。 その他にも、松岡茉優、北村一輝、大竹しのぶらが、さすがの演技力で印象的なキャラクターを熱演している。また、ギタリストのMIYAVIや、芸人はんにゃの金田哲も、独特の存在感で狂気あふれるキャラクター像を構築していた。 ストーリー展開においては、ハードボイルドを突き詰め、余計な小細工なしで物語を推進していく姿勢が良かったと思う。 兎にも角にも、日本映画界において、ようやく骨太でアグレッシブなバイオレンスアクションが生まれたことを率直に喜びたい。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(邦画)] 8点(2025-01-03 23:53:01)
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