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横行する振込詐欺グループの“巣窟”を、殺人マシーン、いや“養蜂家”のジェイソン・ステイサムが急襲する。
荒唐無稽なキャラクター設定による、ニヤニヤが止まらないアクション展開は、あまりにも非現実的だけれど、それを確固たるエンターテインメントとしてまかり通すのがステイサム映画というもの。 常軌を逸したストーリーではあるものの、現代社会の「悪事」も、これまでの常識を逸脱したものばかりの現実に、もはやこんな“養蜂家”の暗躍を本気で期待してしまうことも否めない。 “舐めてた相手が殺人マシーンだった”系のアクション映画が、れっきとした人気ジャンルとなって久しいが、その分類似作が飽和状態になっていることも事実。 ただ本作は、“ジェイソン・ステイサム”という圧倒的個性によって、類似作でありながらも独創性を備えた娯楽映画に仕上がっていたと思う。 まず何よりも、主人公が養蜂家を現在の生業としている設定がユニークだ。決してただのカモフラージュではなく、真剣に信念をもって蜂蜜づくりに勤しんでいることが、少ない描写の中でもしっかりと伝わってくる。 その一方で、映画冒頭では“害虫”であるスズメバチの巣を容赦なく「駆除」する様も映し出され、そのシークエンスが本作の本幹のストーリー展開を示唆している点も、上手い映画づくりだったと思える。 新たなダークヒーロー像を“養蜂家”と称して、全世界的に蔓延る“害虫”たちの「駆除」を秘めた役割として課すストーリーテリングは、シンプルに痛快だった。 オープニングクレジットで初めて本作の監督がデヴィッド・エアーだと知り、この手のジャンル映画の監督としては意外だったけれど、随所にその手練れぶりが見て取れた。 個人的には、「スーサイド・スクワッド」での“失敗”以降、干されていた印象もあったけれど、実力のある映画監督であることは確かなので、また精力的に映画製作に臨んでほしい。本作はその再起爆剤となり得る作品だったと思う。 「ジョン・ウィック」よろしく、現実世界のリアリティラインを踏み越えた諸々の設定は、もちろん今後のシリーズ展開も期待させる。 さらに個性的で破茶滅茶な“養蜂家”たちとの共闘・決闘を楽しみにしている。 90年代に隆盛を極めた“アクション俳優”という呼称は、もはや「死語」に等しいけれど、その数少ない生き残りであり、次世代への継承者であるジェイソン・ステイサムの真骨頂というべき快作だった。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(字幕)] 7点(2025-07-06 12:18:42)
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