| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 シリアス路線ウディ・アレン映画のひとつですね。主人公が神の不在やニヒリズムに悩まされるのはいつもの事としても、それと戯れて笑いにしてしまうことなく、「神の不在」に関しては正面から取り組んでいる印象です。このテーマからは、有神論と無神論、信仰と懐疑、道徳と欲望・・・様々な対立が生まれ、現在では後者の無神論、懐疑、欲望が優勢を占めているんでしょうね。映画でもジュダは殺人をしても普通に生きる一方、道徳の象徴のような司祭は失明し光を失い、愛と道徳を説くレヴィ教授は自殺してしまう。普段のアレン映画なら「人生は楽しまなきゃ損だ、神の不在やニヒリズムに悩まされるより楽しもう」といった主人公の転換点があるけれど、この映画で一番人生を楽しんでいるのは、おそらく不倫相手殺害を依頼しても何も変わらず生きていくジュダという皮肉。これだど、いつもみたいに「楽しまなきゃ損だ」という方向に持っていけず、普段の自分の主張に非難を浴びせるようなことをするあたりは、シニカルというか自虐的というか、何ともアレンらしい気がします。一方のクリフはと言うと、教授には自殺され、彼女は奪われ、人生の悲哀に暮れるしかない。この映画に予定調和的なものは全く無く、そんなものを期待するのはジュダが言うように「映画の観すぎ」なのかもしれない。ウディ・アレンのシニカルな部分を強調した映画で、かなり苦味が効いているが、このほろ苦さが極上というのがアレン映画でしょう。
【ペリエ】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-11-30 01:38:40)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |