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ランド・オブ・プレンティ のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ランド・オブ・プレンティ
製作国米,独
上映時間124分
劇場公開日 2005-10-21
ジャンルドラマ,ロードムービー
レビュー情報
《ネタバレ》 強いアメリカ、戦うアメリカは知っていますが、これは弱くて小さなアメリカの物語。ポールの精神状態がおかしいことには、すぐに気がつくのですが、それでも監督は執拗にポールが妄想にかられてテロリストを追いかける様子をミステリータッチで撮り続ける。あまりにも延々とポールの妄想劇を繰り返すので、多少閉口させられますが痛々しさだけは伝わってきます。しかしポールが酔ってラナのいるホテルにやってきたシーンは見事です。彼女は人の心の弱さをすべて受け入れ、包み込み、そして赦し、癒そうとする。この映画で彼女が泣いて神様に助けて欲しいと願ったものはポール叔父です。ポールは「アメリカ」の隠喩として用いられていたと思います。つまりラナは、心身ともに衰弱しきったアメリカという国そのものを助けて欲しいと神様に祈ったのではないでしょうか。久しぶりに素直に感動しました。同時多発テロでは大勢の罪のない人たちが亡くなりましたが、ラナがいた中東では、普通の人たちがその事件を知って、歓声があがったという話が恐いほどリアリティがあります。アメリカに対する憎しみの連鎖はこれからもこの国を襲うかどうかは分かりませんが、ポールの存在はアメリカそのもの。ベトナムでドロ沼に陥り、9・11で報復され、そして今も顔の見えない相手から憎しみをぶつけられていることに対して、怒りと不安を感じながら、神経をすり減らし生活している。これが大国アメリカの1つの側面だと思います。この映画は監督の思惑と外れて観られているかもしれない。でもそれで良いと思う。たしかなことは想像力を刺激させられる映画だということです。
花守湖さん [DVD(字幕)] 10点(2006-05-24 19:27:22)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 18件
作品の平均点 6.72点
作品の点数分布
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315.56%
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5211.11%
6211.11%
7633.33%
8527.78%
900.00%
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作品の標準偏差 1.63
このレビューの偏差値 62.39
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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