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《ネタバレ》 崖の上のポニョよりも、崖の上の一戸建てのほうが気になったのは私が現在マンションを購入しようと考えているからなのかもしれません。自然フェチの家族がザバイバル生活を楽しんでいるだけなのか、それともよほど坪単価が激安だったのでおもわず衝動買いしてしまったのか、いずれにせよ、あんな所に住む家族は、物好きを通り越してクレイジーです。海辺なのに空の色は常に薄暗く、リサの狂気じみた運転は、ほんの一瞬、カリオストロにおけるルパンの無謀運転を思い出して愉しくてわくわくしてくる。でもそんなことを言ったら、また道徳に厳しい立派なご両親のお怒りを買うだろうか?それもまた痛快だ。ふふふ・・。リサのドライブシーンは間違いなく血沸き肉踊る。モラル違反承知であえて言わせていただくなら、リサ、ブラボー!母親は偉大です。1つ気になる点がある。リサとポニョママらの存在感に対し、父親たちの影が薄い。子から嫌われるポニョパパと家庭に存在しない宗介パパは、宮崎監督自身の姿に間違いない。監督の息子が隠喩を用いて、父親殺しの物語を作ったことからも分かるように、宮崎氏の息子に対する暗澹たる思いが、作品の中で鈍い鉛色の空色となって表現されている。私は子供にとって父親は必要ないとずっと言い続けてきました。母親さえいればいいのです。ラストシーンの「あの世」は、母親と老人たちが全員死んだと解釈します。現実の厳しさを教えられました。でもアニメを通して勉強させないでください。成長するときは勝手に頑張りますからどうぞご心配なく。説教が聞きたいときは、近くのお寺に駆け込みますからそれも結構です。いぜんわたしは、「宮崎アニメは立派だから観なくてはいけませんよ」といって、ムリヤリ嫌がる子供の腕を引っ張って、映画館へ連れて行こうとする母親の姿が社会問題を引き起こすと予想したことがあります。しかし監督も同じ危機意識を持っていたようです。本作品をひとことで評するならば、原点回帰です。子供のアニメが戻ってきました。足りないものは「冒険」だけです。もしかすると宮崎アニメは復活するかもしれない。監督は一番大切なことに気がついた。次回作に期待します。私に言えることは1つしかない。とりあえず長生きしてください。
【花守湖】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-08-11 22:08:08)
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