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《ネタバレ》 人は生まれたときから闇を恐れるように、見えないものを本能的に恐れます。想像力こそが最大の恐怖なのです。それとは何なのか?私はそれの正体を知っています。それは見えるとすれば銀色です。風がそれを運んでくるらしい。ですが実はそれが空気よりも重いのです。じゃあなぜ風に流されるのか?その答えはあえて教えません。それに触れたら必ず感染するわけでもありません。これは多くの人が指摘する通りです。監督はそれの正体についてまともな答えは用意していませんが、その気持ちはよく分かります。それが化学兵器やウィルスであったり、もしくは自然界の復讐や、神の怒りが原因だったしても、姿が分かってしまえば意味がないのです。想像させる恐怖ではなくなってしまう。作り手の意図は明確です。見えないモノに襲われることにより、自分の想像力に恐怖する人間模様を描きたかった。つまり、暗闇の奥に潜んでいる魔物の姿は、人によって違うということです。私の作り出した魔物を人に教えても意味が無いでしょう。一番感心したのは、「それ」が鬱のメタファーとして見事に機能していたことです。鬱はまさにハプニング。それは突風のように、突然人の身に訪れ、人の人格まで変えてしまい、自分殺しを実行させます。よく勘違いする人がいるのですが、死にたい人が自殺するのではありません。自殺は自分に殺される行為であり、自分でも止めようがないハプニングなのです。現在の私は長生きしたいと思っています。しかしいつ自分の身に風が降りかかってくるかまったく分かりません。あなたは死ぬつもりがないから自殺の心配はないなんて思っていませんか?そんなことで防げるとは私は思いません。観れば観るほど、色々考えさせられてますます怖い映画でした。
【花守湖】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-04-12 01:31:01)
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