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《ネタバレ》 ベジタリアンの主人公が、人肉を食べるという結末に衝撃を受けます。あの悪童コックを食べたということです。コックは「お前らは偽善者だ」と言いたかったのでしょう。生きる、ということはもっと本能的なものなのだ。動物の肉すら食べたことがない主人公が、コックの人間学を実践し、そのコックの肉を食べるという皮肉。少年は自分が許せない。彼は宗教家であり、自分こそ善良な人間だという自負があった。幻想的なまでに美しい海の景観は、己の罪を覆い隠し、美化したい主人公の欲求が作り上げた壮大なファンタジーである。トラと漂流したという究極のでっちあげは、おぞましい現実から目をさらすためにつくりあげたカモフラージュ。もちろんトラ=主人公本人です。罪深い自分をトラに見立てた。そして少年がトラを受け入れる瞬間、すなわち少年は自分自身の罪を受け入れたことを意味します。少年とトラの長い漂流は、実は少年が、己の罪(=トラ)に苦しみ、自殺するかどうか葛藤していた時期です。少年は自分を赦した。生きる道を選択した。アーメン。さらにトラを擬人化しなかったことは評価できる。トラが少年に対して友情を感じ、「パイちゃん助けてくれてありがとうね」なんていうそぶりを見せたら、たちまち本作品は失敗作で終わっていた。私ならリチャードパーカーに助演男優賞を与える。たまにはレッドカーペットにトラを走らせてアカデミー賞の低視聴率を解消しやがれ。私が言いたいことは1つである。「トラと漂流した話をそのまま信じろ!」事実は1つ。しかし真実は人の数だけ存在する。ファンタジー万歳!
【花守湖】さん [映画館(吹替)] 9点(2013-03-09 23:26:44)
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