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《ネタバレ》 いま当然となっているものでも昔はそうでなかった。あるいは何らかの歴史の上に成り立っている「いま」であった。そういうことを知ることができる映画でした。
自分が日本人だからか、それとも今の時代に生きているからなのか。黒人差別と言われてもピンとこないというのが正直なところです。まあ日本人にしてみれば白人も黒人もどちらも「外人」であってその感覚そのものに隔たりはありませんから。あえて「外人」と書きましたが日本人もある意味「外人」に対して偏見を持っていて、無意識もしくは無条件にそういう感覚を持っているという意味では黒人差別と通じるものがあるのかもしれません。 さて舞台は第2次世界大戦直後のアメリカ野球界。当時は野球選手と言えば全員白人というのが当たり前で、黒人選手など一人もいなかった。黒人は野球選手としてどころか社会から排斥されて不当な扱いばかり受けていた時代。黒人というだけで飛行機は無理やりキャンセルして白人に渡され、トイレやシャワー、その他公共施設も白人と同じものを使うことは許されなかった。そんな中で野球選手としてBranch Ricky(=Harrison Fordさん)に見いだされ、史上初めての黒人選手Jacky Robinsonが誕生するというお話。 万人に見せる映画なので一見きれいなドラマに仕上がっていますが、「実話に基づく」とはいえここで描かれた以上のこともたくさんあったんでしょうねえ。シンシナティとの試合で、純粋に野球が好きそうな白人の子供が、その父親がロビンソンを口汚く野次っているのを見て自分もそうすべきなのかなと逡巡した挙句、「この黒人やろう!出ていけ!」と野次を始めたのはショッキングでした。自分が日本人で、今の時代に生きているからその異常性がわかりますが、なんて悲しいことなんでしょうか。逆にいまのこの日本の社会の中で自分たちがそういうことをしていないか、子供たちにそんな差別意識の伝達をしていないのか、改めて思いをはせてみる良い機会となりました。 ただ上述のように万人向けの作りになっていたため、本当の黒人差別のひどさを知ることができたかというと少々物足りなかったか。例えばこれをその時代に生きた黒人の人に見てもらって、「これで当時の差別のひどさが十分伝わりますか」と聞けばおそらく不十分と言われるような気がする。少し鑑賞者のレートをあげてもよいからもっと踏み込んでほしかった。これを観た人全てが、黒人を卑下するあの言葉を使うことを心から忌避してしまう、そんな映画を。実際にこれを観た黒人の人の意見も聞いてみたいと思いました。 【TANTO】さん [インターネット(字幕)] 9点(2021-09-07 15:10:19)
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