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《ネタバレ》 戦争が来るまでは普通に大人となり、普通に酒を飲み、普通に女を愛する平凡な一生を送っていた男たち。捕われ泥まみれの穴の中、エゴむき出しで罵り合った彼らも、やがて次に生まれ変わるものに思いを巡らす。そんな絶望の状況の中でひとりの兵士が与えた「笑い」という一筋の光は強さとなり、やがて彼らを生還へと導く。希望を持てと言うのは容易いが、希望を産み出すには、それだけの「強さ」が必要だ。映画の冒頭に「笑いは最強の兵器」という言葉が出ていたように、笑いとはその人間の「強さ」そのものであるということを教えられる。笑いとは人間だけが持っている行為だが、戦争という人間らしさを拒否される状況の中で、この人間らしさの象徴である行為を忘れないからこそ希望が生まれる。銃を下ろし、赤鼻をつけて上官に逆らったあの兵士は、銃以上に強さを持った人間らしい男であった。激しい戦争シーンも飛び散る血飛沫もないが、それ以上に人の強さ、戦争の哀しさ、笑う行為の尊さを、一市民や一平氏という一個人の立場から美しく人間臭く描いた秀作であると思う。
【six-coin】さん 9点(2005-02-12 03:31:15)(良:1票)
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