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《ネタバレ》 物語の内容だけでなく映像も、まるで絵本をそのまま映画にしたような独特の美しさがある。ティム監督独特のこの映像の美しさには惹かれる人も多いと思うが、この作品に関して言えば、監督自身は映像美だけにこだわっていたわけではあるまい。ファンタジックな映像の随所に、彼の人間社会への痛烈な皮肉が込められている。一見可愛らしいが、よく見ると無気味な程に同じようなパステルトーンの家々、同じような単色の服装。旦那の車での出勤とともに町が目覚め、騒ぎだし、旦那の帰宅とともに皆家に帰る。一様に珍奇な髪型にこだわり、一様に興味の対象を探して彷徨う。これら映像全てが、主人公エドワード以外の人間のヒステリックな集団化を、極めて端的に象徴していると思う。人間のエゴの醜さを表現するために、まるで舞台のように余分な要素を一切省き、象徴的な部分だけをこれだけ見事に美しく映像化した映画も珍しい。友が出来たことを喜び、やがて忌み嫌われ、哀しみと怒りのままに人々のもとから姿を消したエドワード。何かを諦めたようにすたすたとボロ屋敷の階段を上がり、黙々とハサミを振るう彼のラストシーンの後ろ姿がなんとも切ない。愛する人をも傷つけてしまうハサミの手で、きっとあのまま、彼はいつまでも独り、街に雪を降らせ続けるんだろう。やり場のない哀しさと淋しさを創作意欲に変えて、いつまでも孤独に、氷の彫像を作り続けるんだろう。
【six-coin】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-02-27 12:59:16)(良:2票)
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