| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 愛すべき頑固で偏屈ものの爺さんが、ひたすらゆっくりとゆっくりと進んでゆく。10年も兄と仲違いをすることになった喧嘩の原因も、ついに語られる事はない。長い道のりの中で出会う人々と時には助け時には助けられ、恩着せがましいことも恩に甘んじることもなくひたすら目的のために旅を淡々と続けるだけ。70数年の人生に比べれば、数週間そこらの時間や距離なんて、老人には大して問題ではなかったに違いない。若者には決して、やろうと思っても出来ない豊かな旅。愛や友情や親切など、人間同士の関係の理想的なものが、この旅に凝縮されているように思う。そしてそれは主人公の言ったところの「足も目も弱ったが経験は積んだ」老人だからこそ可能であることなのだろう。私も年をとったら、こんな愛すべき偏屈者になりたいものだ。弟の顔をみた兄は、間を分つことになった確執をどう考えたろうか。再会した後の会話も無いが、オンボロのトラクターがあっただけで十分だった。子供の頃のように夜空を眺めて、楽しげに語り合う兄弟の様子が瞼に浮かぶようなエンディング。じつにゆっくり、ゆっくりとした、美しく、大らかな映画だった。
【six-coin】さん 8点(2005-02-13 03:01:02)(良:1票)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |