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「それは自由が燃える温度」。なんだかプロパガンダ映画を見せられているようで、どこか納得がいきませんでした。しかし、編集が抜群にうまい!うそは言ってないんだろうけど、作り手の思うがままに話が運んでいました。映画の前半は圧倒的な情報量で、観客に自分の立場で考える隙を与えません。石油利権や献金絡みの込み入った政治的なつながりをまくし立てて、それでいて明確には答えを述べません。だから「これは当然ブッシュが利権を得るための戦争なんだ」と自然と考えさせられてしまいます。時々入るパロディやちゃちゃも上手(選曲も見事!)で、批判的な眼力はすごいなと感心しました。後半は観客の感情に訴えかけてきます。わが子を市街戦で失ったイラクのお母さんが何度も「神よ!神よ!これはなぜですか?」と天を仰いでいたのは涙を誘います。そこからだんだんアメリカの階級問題にまで話が膨らんでいき、ベトナム戦争を彷彿とさせます。常に貧しい階層が戦場に行き、富めるものは利権を掴み取る・・・懲りないのでしょうか。
もちろんプロパガンダ映画なので、編集の力が存分に使われていることは確かでしょう。でも民主主義って何だったのか、と考えさせられてしまいます。民主主義って、結局いいとか悪いとかの合理的な原理は関係なく、民衆の感情とか上層部の思惑で動いてしまうものです。クラスのいじめと同じで、リーダーが始めるとみんなが自分の損得で流れていき、客観的な判断や倫理(と思われるもの)はそっちのけです。ギリシャやローマがその昔陥ったハマリパターンなのかもしれません。循環史観・・・歴史は繰り返すのでしょうか。結局のところ、階層社会の上層部に行かなくちゃ!と強く思わせられた映画でした。 【おしりはばとび】さん 7点(2004-10-17 00:29:07)
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