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なんと繊細な映画だろう。
愛する息子を理解することができない母、愛する母に秘密を打ち明けられない息子(ハーレイ)、双方の苦悩がひしひしと伝わってくる。美しい街並みを背景に、静かな展開が精神科医の過去にやり残した仕事への未練と親子の抱える悩みとを無理なく融合させる。そして、衝撃のラスト。特に印象に残った場面が2つある。1つは、少女の葬儀でその母親が少女の食事に洗剤(?)を入れていたことが発覚する場面。父親と葬儀に参加いていた人々の視線、無言で動揺する母親の冷酷な表情、身の毛もよだつほど恐ろしかった。もう1つは、車の中でコール(ハーレイ)が母に秘密を打ち明け、理解しあう場面。「お墓参りに行ったとき、ママはお婆ちゃんにに聞いたでしょ」「その答は毎日だって」「ママは何て質問したの?」くどくどとした説明は無く、短いセリフの中に死者であるお婆ちゃんと話しをしたことを明確にする。ハーレイの演技も良いが、さらに素晴らしいのは母親役の女優(トニー・コレット)の演技。懐疑、納得、感動へと変化していく表情はみごとである。何回見ても、この場面は涙なくして見ることはできない。確かに衝撃的な結末が話題になった映画だが、綿密に計算された展開や各俳優の演技力があってこその傑作である。だから、何回見ても楽しめる。2回、3回見るうちに、初回には気付かなかった細部までも綿密に計算されていたことが分かり、また一味違った楽しみ方もできる。最後に、もう一度言いたい。この映画は繊細な映画である。デリカシーを感じてこそ、この映画の良さが分かるのだと思う。 【Gang10】さん 10点(2004-01-09 17:43:34)(良:4票)
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