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ものすごく凹んでいるときに観た。
あまりに凹みすぎていて、ひとりでいられないので、友達夫婦の家に転がりこんで、「どうしたの?」と訊かれても答えることができずソファに埋もれて縮こまっていた。 ごはんを出されても口にできなかった。 ぐずぐずとその晩泊めてもらって、翌日ふたりが映画を観に行くからというのでくっついていった。 吉祥寺の映画館。 「ロードオブザリング」だなんて・・・というよりも、とても映画を観るような気分じゃなかった。それでも、映画を観ずにいられるような気分でさえなかった。 何をどうしていたって、きのうの失敗と後悔で頭も心もいっぱいだった。 それが、だ。 凹んでいるときって、感受性が特別強くなるんだろうか? ごくごくありきたりの台詞だと思うのに、ガンダルフのある言葉が深く刺さってしまったのだ。 指輪を持ち出したために波乱を招いてしまったことを悔やむ主人公に対して、その老人はこう言った。 「つらい目にあうと皆そう思うが迷っても遅い。それより大切なのは今自分が何をすべきかを考えることだ」 本当は原文の意味とは違うのだそうだが、そんなことはどうでもいい。 普段の私なら、しゃらくさいと言ってしまったに違いないこの言葉が、あらゆる真実を含んでいる気がした。してしまった。 映画館を出て、帰り道、やっと私はいったい何があったのかを友達夫婦に話し始めることができた。 「あの台詞、なんか、ほんとにそうだなーと思った」と言ったら、友達も「君はそう思っているだろうと思った」と言った。 そのとき以来、何か心苦しんだり、悩むことがあったら、こう考えることにしている。 この世の悩みは二つに分けられる。取り返しのつかないことと、取り返しのつくこと。取り返しのつかないことはどうしたって取り返しがつかないのだから、悩むだけ無駄。取り返しのつくことは、取り返しがつかなくなる前に、一刻も早く取り返なさなければならない。自分が今、何をすべきかよく考えろ。 これでほとんどの悩みがシンプルになった。 【よしの】さん 8点(2003-11-23 00:29:06)(良:5票)
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