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《ネタバレ》 劇中、迷惑そうに看護師がボヤくシーンがあります。「要介護度が2という事なので受け入れたのに」。
ランクによって選り分ける介護認定制度って代物、判定する人の主観に左右される雑なシステムな上、再認定の申請から実際に認定が下りるまでに2ヵ月程かかります。認定されれば要介護度は判定日まで遡って適応されるものの、その間に何らかの具体的な手が差し伸べられる訳ではありません。 映画のように認知症が進行すれば要介護度は4か上限の5になりますが、認定には時間のズレがあり、要介護度が上がったところで、じゃあ手厚いサービスが受けられるのかと言えばシステムは万全には程遠く、むしろ介護度が上がる事によって映画のように更なる困難が発生します。 最終的に要介護度5となった父の介護をしてきた自分にとって安田成美の助けを得られずに行き詰まってゆく感覚はとてもリアルなものとして伝わってきました。 娯楽映画というスタイルはあくまで崩さずに、介護生活において最も大きな障害となる排泄の問題や、高齢者から金を吸い上げる事に躍起になる介護ビジネスの実態も含め、高齢者介護の現実とあるべき姿を真面目に描出した映画だと感心しました。 ただ、それを描いた時点で真面目な映画としての役目を終えたかのように、クライマックスではテレビシリーズを見ていないと訳が判らない、都合のいい便利キャラとして黒木メイサが登場し、更に「コレはあくまでヤクザ映画なんですよ」とばかりにクサいスローモーションとカットバックでクドクドと見せ場を安っぽく演出してしまう点は幻滅しました。何か最後になって色々なお約束事を回収にかかったみたいで、ちょっと不恰好。 でも、結局こういうのって自分の身になってみないと判らないゆえに法律もいい加減だし、映画でも問題が伝わりきらないのでしょうねぇ。そういう立場になるときっと「政治家のドアホ!」って思いますよ。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-01-31 20:28:36)(良:1票)
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