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《ネタバレ》 原作を読んだのは翻訳版が出版された時なのでもう30年近く前になりますか。分厚い単行本な上に上下巻に分かれた長い長い小説で、キングらしく細かい描写を積み重ねたその世界にのめり込んだものでした。
今作は映画というフォーマットゆえ、描ける世界の広さや奥行きに限界があるために原作のようにはのめり込めませんでしたが、懐かしさと、次々と記憶に甦る展開に鼻の奥をツンツンさせながら見ていました。 今回の映画版は、大人パートと子供パートとを行き来する原作とは違って、完全に子供パートのみを切り取って1本の映画にしています。それゆえ、大人パートと連動するエピソードなど物語上の仕掛けの多くが無効になって単純化してしまった感はあります。 それに、世間の常識的、良識的に許される表現の限界からか、クライマックスの重要なエピソードは(かつて作られたドラマ版同様)やっぱりカットされています。 それらの要素が今作を少年少女向けのようでありながら、年齢制限付きの結構スプラッタなホラーという、チグハグな印象の作品にしてしまったような状態で。 それでも、キングが描いた、子供心が抱く恐怖は上手く再現できていたと思います。化け物、あり得ない現実離れした恐怖、それは現実を生きる上でもたらされる恐怖が生み出すものであり、他者の負の心が作用して生み出すものであり。幼心の恐怖が具象化してゆくそれは、安っぽいホラーの形を借りた人の恐怖の発露であり(キング作品の多くがそうであるように)、幾つものバリエーションを描く事で集大成的な側面を持っています。ゆえにホラー映画的には安っぽさ大爆発になってたりもするんですが、そもそも原作がそういうところを意図していた訳ですね。 続きで大人パートが映像化される事になると思うのですが、その部分だけを切り取ったモノはあまり面白くないんじゃないかと危惧しております。でも原作が書かれた時代から時を経て、原作の現代部分よりも映画の過去部分の方が時代がもうちょっと後なのが不思議な感覚で、その映画の現代が今どう描かれてゆくのかが期待できたりもします。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 7点(2017-11-05 17:32:45)(良:1票)
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