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《ネタバレ》 伊丹十三監督の第2作。久しぶりに見たが、やっぱり面白いし、さびれたラーメン屋を立て直すメインストーリーに人々の食に関する群像劇を絡めて構成されているが、それがいかにも伊丹監督らしい着眼点で描かれていて、伊丹監督の食に対するこだわりのようなものも感じられる。「ラーメン・ウエスタン」とも称される映画だが、冒頭のゴロー(山崎努)とガン(渡辺謙)が「タンポポ」に入った後の店の雰囲気がいかにも西部劇の悪役がいそうなガラの悪い雰囲気だったり、このメインストーリーである「タンポポ」の立て直しのエピソード自体も西部劇を意識しているようでなるほどと感じる。このメインストーリーの合間にあるのがその他の人々による食に関する群像劇で、この部分もメインストーリー以上に面白く絶妙で、これがあるからラーメン屋のサクセスストーリーというだけではない幕の内弁当のような楽しさがある映画になっていると思う。その中でもやっぱり井川比佐志演じる男が今わの際の妻(三田和代)に炒飯を作らせるエピソードは今見ても印象に残るし、炒飯を食べる家族を見つめて笑顔を見せる妻がなんとも切ない。深夜スーパーに現れた老婆(原泉)とスーパーのマネージャー(津川雅彦)との攻防も面白いが「スーパーの女」を先に見ていると津川雅彦の役柄が正直屋の五郎の若い頃のように見えてしまうのも面白い。タンポポ(宮本信子)の息子にせがまれてホームレスが作るオムライスは相変わらず美味そうだ。大学教授を騙って詐欺を働く老人役が中村伸郎だったのは今回見て分かったが、彼のインテリ系イメージを逆手に取ったうまいキャスティングだ。そして狂言回しとして登場する白服の男(役所広司)のエピソードは黒田福美や洞口依子とのエロシーン(生まれて初めて見た濡れ場シーンだったので強烈に覚えていた。)が今見ても強烈なインパクトを残している。(黒田福美は同時期に戦隊もので悪役やってたのがこれを見ると信じられない。)料理映画だけあって登場する料理はどれも美味しそうに描写されていて、そのあたりも抜かりはなく、見たのは数日前だったが、見る前の夕食にラーメンを食べ、深夜寝る前に見たのだが、思わずまたラーメンが食べたくなってしまった。(2022年9月18日更新)
【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2005-04-17 11:47:01)
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