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《ネタバレ》 劇場版にサブタイトルがつくようになってわずか2作目での完結編となってしまった。冒頭に一か月前に呪いをかけられ死を宣告された男(石丸謙二郎)が出てきたり、舞台となる異国の元首が菅井きんだったりと、連ドラファーストシリーズ第一話の「母之泉」を思わせる部分があって、最後にして原点回帰を目指しているようにも思う。印象としてはこれまでと変わらず山田(仲間由紀恵)と上田(阿部寛)のとぼけたやりとりや村上ショージを使った薄ら寒いギャグなどこのシリーズらしさは健在。(深夜枠時代のような雰囲気はもはやないが、シリーズが長く続くと作風の変化は致し方ない。)今回は最初で最後の海外ロケに出ていて、それがこのシリーズには少々不似合いのような気もするのだが、長年の関係者の慰労も兼ねてたんだろうなぁ。仲間由紀恵と朝ドラ「花子とアン」で夫婦を演じていた吉田鋼太郎が出演しているが、もし朝ドラ放送後の公開だったらこのシリーズのことだからそれに関するネタを絶対にやっていただろうなぁ。でも、そういういつもと変わらない軽い気持ちで見ていたからこそ山田が呪術師ボノイズンミ(水原希子)の代わりに自らを犠牲にして村を救うことになるあたりから突然目が離せなくなった。ここは本当に今までのシリーズを見ているとこみ上げてくるものがあり、山田を必死に説得する上田に感情移入しないはずがない。そして、事件が終わった最後の10分ほどこそが本作最大の見どころで、とくに主題歌の「月光」(やっぱりこの「トリック」という作品の主題歌は鬼束ちひろでないとしっくりこない。)のバックにしたこれまでのダイジェストを見て、シリーズが終わることを実感し、さびしい気持ちになったし、その後のいちばん最後のシーンで上田の前に現れた山田が「母之泉」で上田の前で初めて披露したコインと封筒を使ったマジックを始めるところで思わず泣きそうになってしまった。堤幸彦監督の作品では「ケイゾク」でも「SPEC」でも男女バディのコミカルなやりとりが面白いのだが、やはり「トリック」はそこがいちばん安心して見られる。今まで見続けてこれたのはそのためかもしれない。これでこのシリーズも見終わってしまったわけだが、実際、堤監督のバディものシリーズを最後まで見てこれほど名残惜しさを感じるのは初めて。それほどこの山田と上田というコンビがずっと見ていくうちにいつの間にか親近感がわいて好きだったんだろうなあと思えてくる。(あまり「ファン」という意識なく見ていたつもりなんだけども。)リアルタイムでずっと見ていたわけではないのだが、それでも最後まで見続けて良かった。
【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-11-18 18:21:01)(良:1票)
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