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《ネタバレ》 劇場版シリーズ第3作。今回は過去に完全黙秘を貫いて無罪になった男(村上淳)が再び殺人容疑で逮捕されるところから始まり、この黙秘を続ければ無罪になるということが今回の最大のキーワードになっているわけだが、ちょっと疑問が残るし、あんな決定的な物的証拠(大量の血がついた作業着)があれば黙秘を続けても意味がないのではとも思えてきてしまい、そこがちょっと残念。その過去の事件で殺された被害者の居酒屋経営の家族とその関係者が共謀してその男の殺害計画を立てるまでは良かったし、その全員が警察に対して黙秘を貫くというのはどう供述に持っていくかが見どころで、確かに面白いのだが、それがあっさりとしまっていて拍子抜け。戸島(田口浩正)のいうように事件に関わった人たちの感情の度合いの違いを見せたかったのかもしれないが、どうも納得できない。真実が明かされる終盤に至ってはどんでん返しに凝るあまり、背景の人間ドラマとミステリーとしてのリアリティさえもおざなりになってしまった感が強く、特に先生(椎名桔平)の奥さん(吉田羊)が被害者である教え子を突き飛ばして公園のフェンスにぶつけただけで死んだと誤解して気が動転するのはいくらなんでもお粗末で無理があり、思わず突っ込んでしまい、もう少しもっともらしい描写が出来たのではと思ってしまう。それにもう一つのキーとなるパレードのシーンも少し長く感じてしまった。この劇場版シリーズは「容疑者Xの献身」がテレビドラマの劇場版であることを感じさせない作品で実際面白かったのだが、その次の「真夏の方程式」はテレビドラマの劇場版という感じがしていた。今回は終わってみれば内容は重めだったかも知れないが全体の印象としては軽く、これまででいちばんイベント性の高い映画になっていて、湯川(福山雅治)が推理しながら数式を書かないなどドラマとは違うという劇場版のお約束は今回も守られているものの、前作に輪をかけてテレビドラマっぽい作りに感じる。今回の話のきっかけとなる男を演じる村上淳だが、公開と同時期にテレビドラマ化された「禁断の魔術」には息子である村上虹郎が重要な役で出ているのが面白い。久々に内海(柴咲コウ)が登場して、それだけで同窓会的な楽しさはあるし、主題歌がKOH+なのも「ガリレオ」はやはりこうでないとと思わせてくれる部分ではある。本作を見て願わくば「真夏の方程式」も主題歌だけはKOH+であって欲しかった気がした。本作単体で見れば5点が関の山だと思うのだが、シリーズをずっと見ていることもあってこれに免じて1点プラスの6点。
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