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《ネタバレ》 昔、「金曜ロードショー」で放送するたびに父親とよく見ていた映画なのだが、「忠臣蔵外伝 四谷怪談」(当時同日公開だったみたい。)を見たのでこちらも久々に再見。(見るのはもう5回目ぐらいなんだけど。)今見たら市川崑監督の映画で主演が高倉健というのがちょっと異色で珍しい感じがするのだが、忠臣蔵映画としてもけっこう異色で、話の発端となる浅野内匠頭(橋爪淳)が吉良上野介(西村晃)に斬りかかる松の廊下のシーンをクライマックスでの回想に留めていたり、吉良邸に迷路があったり。そして本作の見どころである吉良側に良くない噂を流すという策略などの謀略合戦といった部分はほかの忠臣蔵映画ではやらないようなことで、一見面白そうなのだが、その設定がじゅうぶんに生かされてはおらず、本筋とあまり関係ないような大石(高倉健)とかる(宮沢りえ)の関係が大きくフィーチャーされているのはけっこう不満が残るし、やっぱりかるが大石に向かって「やや子が・・・」というシーンはツッコミどころ以外の何物でもなく見ていて笑ってしまう。悪役である色部(中井貴一)も策略家のように描かれてはいるが、中井貴一の演技は力みすぎで、悪役としての凄みがなく、役柄としてみてもただのバカにしか見えず、とても頭の切れる人物には見えないのが致命的だった。討ち入り直前の四十七士が吉良邸前に集合した直後に吉田忠左衛門(山本學)の読み上げが「四十七人!」と叫んで終わるのはけっこう好き。「決算!忠臣蔵」のレビューで東映の任侠映画は忠臣蔵に近いものがあるのではと書いたのだが、本作では大石を演じるのが高倉健のためか、この討ち入りシーンは東映の任侠映画のクライマックスシーンのようで、とくに大石が吉良を殺すシーンはなおさらそう感じてしまう。大石の息子を演じるのが菊之助というのは東映ファンを意識してのことだろうけど、「単騎、千里を走る。」での寺島しのぶとの共演を見た後になって見るとこの共演は降旗康男監督の映画で見たかった気がしないでもない。(石橋蓮司は「忠臣蔵外伝 四谷怪談」にもインパクトのある役で出ていたが、本作ではかなり普通に見える。)忠臣蔵映画としてはこの前作が「赤穂城断絶」だったみたいなんだけど、そこで大石を演じていたのが錦之介だったので、内田吐夢監督の「宮本武蔵」シリーズで武蔵と小次郎を演じていた二人がともに忠臣蔵映画で大石内蔵助を演じているのはそれでもなにか感慨深いものがある。(2024年9月22日更新)
【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 5点(2005-02-27 13:59:51)
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