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《ネタバレ》 澤井信一郎監督のデビュー作となる松田聖子の初主演映画。20年ほど前に初めて見た時はとにかく松田聖子のイモっぽさと下手くそな演技が気になってしまい、映画自体もすごくつまらないように感じていたが、久しぶりに(冷静になって)見てみるとそこまでつまらなくはなく、むしろちゃんと作られていて、冒頭から美しさを感じさせる映像も多く純粋に映画としてよく出来ているし、東映で20年間助監督をしていた澤井監督の職人ぶりが1作目にして早くもうかがえる佳作になっている。松田聖子はやはり最初に本作を見た時も今でもどうしても苦手なのだが、最初の雑巾がけのシーンこそ違和感があるものの、(昔見た時はここから松田聖子の演技が気になりはじめ、そのまま終わってしまった。)見ていくうちに慣れていきあまり気にならなくなったし、どうしても苦手な自分が見ても、この映画で松田聖子のファンになった人も多いのではと思うほどうまく魅力が引き出されている。政夫が「民さんは野菊のような人だ」という有名なセリフに対して「政夫さんはリンドウのような人ね。」と民子が返し、それがのちの伏線になっているのも良い。民子の輿入れと政夫の学校生活を交互にカットバックさせながら描くのもうまく、その直後の花嫁行列のシーンの民子と政夫のやり取りも印象に残るものになっている。でも、このシーンは二人がお互いを遠くから見ているだけという静かな演出でも良かった気がしないでもないが、それだと公開当時でもちょっと古臭くなってしまうような気もする。脇役陣の演技はさすがに安心して見ていられるが、中でも光っているのが樹木希林演じるお増の存在感のすごさ。民子と政夫の恋をあたたかく見守るという役柄だが、同時にコメディリリーフ的な登場人物でもあり、とくに冒頭部分の政夫との会話のあとにつぶやくセリフからして笑えるし、登場するシーンは全部この人が持って行ってしまうようなインパクトもじゅうぶんで、まさにこの役は樹木希林でなければ出せないような味があり、その味が見事に出ていて間違いなくはまり役だ。(政夫の母役が加藤治子なので見ていて「寺内貫太郎一家」が見たくなった。)それにしても、民子に縁談を持ってくる伯父さんの役が丹波哲郎というのはいかにも胡散臭すぎる。木下恵介監督の「野菊の如き君なりき」はまだ見ていないのでいつか見たいなぁ。(2018年8月13日更新)
【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2005-05-12 17:51:38)(良:2票)
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