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《ネタバレ》 相米慎二監督のデビュー作で、鶴見辰吾とダブル主演をつとめる薬師丸ひろ子にとっても初主演となる映画だが、アイドル時代の薬師丸ひろ子=角川映画というイメージなので本作が角川映画ではないことにまず驚く。内容としては話はアイドル映画にありがちなラブコメ青春映画なのだけど、力のあるワンシーンワンカット演出が効果的に使われていて、とても映画的な作品になっているし、これによってデビュー作の本作から相米監督の個性が既に確立してしまっているのがすごい。とくに俯瞰映像での長回しシーンが強烈に印象に残る。それだけではなく、鶴見辰吾演じる田代も、薬師丸ひろ子演じる圭も活き活きとしていて、ここにも相米監督の演出のうまさを感じるし、この監督はただ長回しだけではなく、きちんと主演のアイドル(女優)を魅力的に魅せることのできる監督なのだと今更ながらに改めて思う。圭が田代に向かって言う「私、キレイ?」というセリフがとても印象的なのだが、これに圭の田代に対する気持ちがすべて込められているようで見ていて切なさが込み上げてくる。クジラのアドバルーンが何の脈略もなく出てくるシーンのシュールさも好きだが、やはりラストのモグラたたきのシーン、正面から長回しで撮影していることもあってこれもどことなくシュールに感じるものの、既に書かれている方もおられるが、そこに流れるメインの4人の微妙な空気感がよく出ていたのがうまい。出演者のクレジットは鶴見辰吾が薬師丸ひろ子よりも先に出ていて、実際視点は圭よりも田代にあるのだが、たぶん角川でやっていたら逆なんだろうなと考えてしまった。(だからどうこう言うわけではないけど。)本作は2バージョンが存在していて、20年前にも一度見ているが、その時見たのも初公開版ではなくこの「オリジナル版」だったかもしれない。(2022年8月29日更新)
【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-02 00:15:20)
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