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私も少なからず、この映画を観終わってから腹を立てたものですが、
その苛立ちがそのまま映画への不満ではありませんでした。 この映画のリアリティを語れるほど、私は現代の中学生の実態を知らないし、 強烈なイジメにも遭遇したことはありません。 織り込まれた暴力やレイプなどのエピソードはステレオタイプな印象を否めないし、 一時期流行したTVドラマの焼き直しのようにも感じられます。 けれどどこか、身に覚えのある痛みが呼び起こされる。 思い出の全てに音楽が貼り付いている、若い時代を振り返るように。 私たちは繰り返しの中で生きて、麻痺していることに無頓着でいられる。 ニュースで聞きかじった事件にすら麻痺し、映画の中で暴力やレイプを 目の当たりにしようとも「ステレオタイプだ」と切って棄てられるくらい。 目新しさのないイジメの中には、そんなメッセージが込められているように感じます。 スクリーンにタイピングされるメッセージは、顔のない私たちの言葉。 誰もが無責任に、言葉を投げて去っていく。この映画への感想だってそう。 そこには観客に向けて突きつけられた悪意があって、映画を不可侵にしたい 監督のエゴがちらつく。しかしそれさえも計算なのかもしれないと思わせるほど、 ラストの田園風景の空は高く、美しい色だった。 【337】さん 8点(2004-05-20 06:32:41)(良:1票)
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