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これまで小泉堯史作品を観てきて、この作家が実に誠実で、良心的で、真面目な人だというのがよくわかった。けれども、そういう人がこういう主題で撮ると、作品は避けがたくこうなってしまうのか、と悲しい気がした。なにを隠そう、小生も戦後東京裁判史観は明らかに偏っていて、おかしいところがあったと思うし、戦後の進歩的知識人たちの自己欺瞞的といえる自虐史観にはうんざりだけれども、かといってこれを単に真逆にしただけの、ニュー・ライトのナルシスティックで手前味噌的な主張にもついてゆけない。こんな描き方ではニュー・ライトがのどを鳴らすだけだ。この主人公のような非常に立派な君子も、上官に一人や二人はきっといたにちがいないが、どんな戦争にも必ずあるはずのきたならしいところは、ここに限ってはまるでありませんでしたと言わんばかりに、画面の外にうっちゃってあるのが、まるわかり。部下の兵士たちも、生真面目一辺倒の好青年ばかりというのは、なんとも不自然。これを観ていて、勝新太郎と田村高廣コンビの、『兵隊やくざ』シリーズがもう一度観たくなった。あのフィルムは多少不真面目かもしれないが、軍隊の実態とおぼしきものが描かれてあったと思う。
【goro】さん [DVD(邦画)] 3点(2008-11-20 00:58:31)
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