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制作年でいうと、あの大傑作『晩春』と『麦秋』の間にはさまれた一作だけれども、松竹でなくて新東宝で撮ったためなのか、いまイチ、いまニ。第一にキャスティング。田中絹代は実力抜群だし、上原謙はいいとして、他の方々も指摘されるように、高峰秀子がひっかかる。あの芯の強い、ちょっと意地の悪い、どこか斜に構えて、世の中に対して批判精神を忘れない、高峰秀子のあの個性は、小津さんの世界にはなじまず、やはり成瀬巳喜男の映画にこそふさわしい。それでも、『麦秋』などとよく似たカットや台詞の言い回しが多数あったりして、確立された小津スタイルの様式美を再認識するには、いいかもしれない。
【goro】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-11-13 00:58:06)
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