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窓には、存在学的に互換性がある。窓は家の中に光を招き、同時に家から人を去らせる。これは現代神話だと思った。最初に父親は窓を開けた。窓からは時には祝福された光が差し込んだ。だけれど強い光は、それを浴びた者の後ろに強い影を作った。そして気付くと、入って来た以上に、何かが出て行っていた。失っていた。赤字と磨耗は止まらなかった。惨禍の中を行進する家族。馬鹿げた位に悲惨。待ち受ける未来にも保証も確証もない。なのに馬鹿げた位に悲壮感がない。続く行進。それはどこか、崇高ささえ感じさせた。この家族は、何かを飛び越えた所にいるのだと思った。それは達観かも知れないし、諦観かも知れない。きっと、私の知らない何かなのだと思う。哀しい形で絶対的に結束したその姿は神話的だった。神話は往々にして、自らに滑稽な悲劇を課すから。開いた窓がないと、人は生きて行けない。でも同時に、それは時に人を生かさない。この世界に生きることは、開いた窓の羅列する廊下を歩くことだ。窓には、存在学的に互換性がある。そのバランスの中を、人は生きて行かなければならない。
【ひのと】さん 9点(2004-09-18 00:20:03)(良:1票)
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