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《ネタバレ》 よくできた映画だった。ステレオタイプではないストーリー展開で、とうてい一筋縄にはいかない人間社会の矛盾を追い、それでいながら、そこはかとない希望も見る者に残すという離れ業さえしていると思う。
しかしながら、本作がアカデミー作品賞というのは、しっくりこなかった。よく練られているとは感じたが、練りすぎてまとまりすぎている気がしたし、社会の錯綜する諸問題をテーマとしている反面、教科書的な印象もあった。あるいは、骨太さよりも繊細さのほうがより強く感じられたのは、本作の性格とは矛盾するものでもあった。 それは、一見、ややこしくこんがらがって、なかなか思うに任せない社会のもどかしさを描いているようでいながら、実は、立場こそ違え、登場人物はみな、ある意味で質的に均一だからだという気がする。ある部分善人で、ある部分悪党。善行を行ないもするが、ズルく立ち回ったり、アナーキーな激情に身を任せることもある。 そのような功罪や善悪あざなえる人間のありさまこそ、制作者の本意とするところだというのはわかるが、もし人間や社会の捉え切れなさを浮き彫りにするのであれば、人間のダイナミックレンジはもっと広く取る必要があったかと思う。おそらく、実際の人間のあり方は、もっともっと幅広く激しいこともあるのではないだろうか。ということで、7点也です。ドン・チードル、最近当たってますね。 【delft-Q】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-11-19 21:00:20)
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