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天使のはらわた 赤い教室 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 天使のはらわた 赤い教室
製作国
上映時間79分
劇場公開日 1979-01-06
ジャンルシリーズもの,エロティック,漫画の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 土屋名美が男の精気を吸い取る吸血鬼(@蓮実重彦)となったのは、三人の高校生に犯されその一部始終を8mmフィルムに撮られた時だ。8mmフィルムの荒い画調の中、ゆっくりと立ち上がり服を身にまとう幽霊めいた不気味な姿。その姿、フィルムの中の女優に魅了されたエロ雑誌の編集者、村木とのすれ違いと再会を巡る、これは純然たるメロドラマだ。■しかし「哀愁」もかくやというべきメロドラマを標榜しつつ、大きく異なるのはヒロインが吸血鬼であること。三井マリアと同族にあるのだ、彼女は。■村木に捨てられたと誤解した名美が雨の中で立ちすくす、このロングショットが素晴らしいのは、ヒロインが高らかに笑い、その吸血鬼宣言を行うことで、メロドラマとして用意された1ショットに不気味な亀裂を走らせるからだ。■行きずりの男とのセックスシーンがまた素晴らしい。執拗にセックスをせがむ女に勘弁してくれと言いながら、当初はコミカルに女の要求に対していた男が「これは尋常ではない、これは人間ではない」と悟りはじめ、次第に恐怖の表情を浮かべる、女はブルーフィルムでの姿態を模倣し男の精を吸い尽くそうとする。この時の水原ゆう紀の素晴らしさ、長回しで彼女を捉えるカメラの浮遊感。■そしてラスト、まるで現実ではないかのような(トワイライトゾーンだ、ここは!)場末のバーに迷い込んだ村木は、堕ちるところまで堕ちた女と再会する。あくまでもメロドラマを演じる村木は「ここから出よう」と言う。そんな男に女は言い放つのだ、「来る?あんたが」と。この台詞をあくまでもメロドラマ内部の言葉と捉えるのか、メロドラマの通俗を断固拒否した吸血鬼の誘い水と捉えるのか、あるいはラストカット、水たまりに映った水原ゆう紀の表情は絶望に沈んでいたのか、不適に微笑んでいたのか。そもそも吸血鬼は鏡には映らないはずなのに。
まぶぜたろうさん 10点(2005-03-29 22:07:10)(良:2票)
その他情報
作品のレビュー数 9件
作品の平均点 7.44点
作品の点数分布
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6222.22%
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8333.33%
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10111.11%
作品の標準偏差 1.50
このレビューの偏差値 61.37
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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