| 作品情報
レビュー情報
ビリー・ワイルダーは飽きる、というのが私の意見です。どう?この小道具の使い方、といったこれみよがし、この話法かっこいいしょ、といったしたり顔が、どーも鼻についてくる。しかし、この映画はいかんともしがたい。中学生の時、深夜テレビの画面に向かって涙し、拍手して以来、どうにもこの映画だけは心のワンオブベスト、恥ずかしながら「傑作」と呟かざるをえない。何が凄いって、「ひびの入ったコンパクト」が凄い。ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ、バラバラに描いていた三者の関係がコンパクト一つで一気にまとまり、物語がダイナミックに転回する。物語を語るとはこれだ。この「コンパクト」は凄い。そしてラストのマクレーンの疾走感が凄い。ほんの2、3秒のカットなのだが、静かな物語を解放するかのように、走るマクレーンの横顔を捉えた移動ショットの素晴らしさ!この歓喜に満ちた表情を見るために私は映画を見ているのだ。ビリー・ワイルダーは今ひとつだ、と思う。でもこの映画は忘れられない。
【まぶぜたろう】さん 10点(2003-12-07 20:22:06)(良:6票)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |