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《ネタバレ》 前半はコメディ仕立てだけど、私は何故か途中から涙腺をやられた。国家の再統一という「国家的事件」と大黒柱の母親の闘病という「家族的事件」の2つの軸を重ね合わせ、時代にほんろうされた家族が再生する姿が描けていると思う。母親とララが後半、アレックスのいない病室で喧嘩していたように、ラストでは母親は嘘を知らされていたはず。しかし、死期を迎えた母親に見せた最後の嘘のニュースは、少年の頃のアレックスのヒーローだった元宇宙飛行士が臨時の国家元首に扮して、統一された新ドイツの姿を語る姿。それは西ドイツがいつか失って、東ドイツがたどり着くことに失敗したような現実にはない理想の国の姿。アレックスに優しい視線を向けながら母親が語る「すばらしいわ」の言葉は、国家再統一という歴史の荒波の中で、人々が失ってはならないものに気付いたアレックスの成長に向けられたもののように思える。新しい国の誕生を祝う花火を見ながら、万感の思いを胸に母親は静かに旅立っていく。父親の所在をめぐる嘘を告白し、アレックスたち家族の優しい嘘を受け入れた母親はすべてに安心しきったような穏やかな表情だ。おかしくて笑い、しかし、同時に涙が出る、そんな不思議な映画だった。余談ですが、ララ役の女優さん、可憐でかわいいですねえ。
【しまうま】さん 9点(2004-10-11 03:19:35)(良:1票)
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