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《ネタバレ》 フィロミナは赦すと言うが、ジャーナリストであるマーティンは、彼女の言葉に折れることなく「許せない」と言いきった。神の名のもとに行われていた人身売買が、告発もされず見過ごされていいはずがない。フィロミナが体験した男女間の愛の営みを、カトリックでは罪であると断罪するのなら、同性と交わり業病に侵された彼女の息子は、シスター・ヒルデガードの目にはどんなふうに映ったろう。カトリックのあまりにも狭い視野には、いつも辟易させられる。
放蕩息子やよきサマリア人など、聖書の有名なたとえ話を若い頃から読み親しんできたが、隣人愛を説くはずのキリスト教が、どうしてこれほどに狭義の枠の中でしか人間を認めないのだろう。右の頬を打たれたら左の頬を差し出しなさい、という類の教えを学んでいるはずの聖職者たちが、なぜ「人を愛する」ことを知らないのか。聖書に記されたイエスの言葉を読めば読むほど、この宗教でひと悶着起こしている各国の歴史は一体どうなっているのかと、信者でもない私は、本当にわけがわからない。少なくとも、この映画の修道者たちは、人の命の重さを犬猫ぐらいにしか扱っていない(今やペットのお墓だって人間並みに手厚くなっているというのに)。修道院は神の家とよく言われるが、全く悪い冗談だ。 【tony】さん [インターネット(字幕)] 8点(2017-11-18 23:23:42)
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