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《ネタバレ》 裏返った亀の腹が、ばりっと割れた瞬間・・・・・・
静まり返った映画館の中だというのに思わず、「勘弁してよ!」とつぶやいてしまった。 まさか、大好きなマイケル作品でこんなシーンに出くわすとは夢にも思わず(涙)。 でも、次の瞬間、大きな安堵のため息・・・・・・ 全編を見終わったあと、涙でしばし立ち上がれなかった。 『岸辺のふたり』以来、彼のカラーの長編が見られるというので、ずっと楽しみにしていた。 二次元でありながら、目の錯覚かと思えるほど水の中、自然光にあふれる大気、ありとあらゆる空間が、重力に縛られず変幻自在に表現されていた。 水に浮かんだ男の、海底で揺れる淡い影、女が翡翠の海に浮かべた巨大な甲羅、2頭のカメと並走して鳥のように泳ぐ息子、 これほど目にここちよい浮力を味わえるアニメは、そうはないと思う。 ああ・・・・・・やっと、自分の頭の中に念願の作品が収まった、という思いでいっぱいだった。 ただ、 宮崎氏だったら、「もののけ姫」のシシ神のように、カメを何かの象徴のように扱った気がする。 人間に恋をしたカメとなると、大自然の象徴が個人の人間に合わせてレベルを落とさなければならないので、どうしてもスケールが小さくなってしまう。 また、 いつ「紅の亀」が男を見初めたかがわからない。 人間界を暗示するボトルで巣立ってゆく息子の行く先は、カメとしての大海なのか、人間としての街なのかがわからない。 男と成長した息子があまりにもよく似ていて、まぎらわしい。 地震もなしに、いきなり大津波がやってきたことも引っかかる。 無理して言葉を飲み込んでいるような3人が、逆に不自然。 ・・・・・・と、つっこみたいところは多々あって、どうしても秀作『岸辺のふたり』と比べてしまう。 無理に長編にしたことで、マイケル作品の歯切れ良さが間延びされ、大味になった気がする。それが残念。 それでも、もう一度見直しても、多分、涙でぼろぼろになる予感・・・・・・ 【tony】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-28 20:45:39)
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