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残念ながら、この映画をしっかりした脚本ととらえることは出来なかった。もし映画を描く中で、観客に何かを読み取らせるために、「それが当たり前だ」「当然だ」と腑に落ちさせるような、映画全編に敷き詰める「常識」があるとするならば、この映画については論理的なそれを見出すことができない。ガイ・ピアースは、犯罪者(警察だったわけだが)に父親を殺されたという動機で、汚職や馴れ合いに手を染めない誠実な警官を目指している。映画の冒頭では、このガイ・ピアースの行動を、情に欠けた堅物として、ラッセル・クロウはじめ同僚は敬遠する、という描き方をしているが、どう考えても後者の連中のしていることは、腐った組織のそれとしか見ることができない。ガイ・ピアースに正当性があることは明白であり、彼を異物扱いで捉えた脚本展開には違和感を感じざるを得ない。百歩譲って、その腐った組織側からの視点で描かれた映画だったとしても、ガイ・ピアースとラッセル・クロウ、ケビン・スペイシーが結びつくのは、彼らの知られざる「正義への信念」が互いに見えた瞬間であったのではなかろうか?そうであれば、最後に、上司に対する恐喝まがいの裏取引でめでたしめでたしとなるのはおかしい。ガイ・ピアースは父親の墓前にどう報告するのか?ラッセル・クロウはやっと芽生えた友情をどう解釈するのか?期待通りの筋書きにするにも、あっと驚く筋書きにするにも、「腑に落ちる」ものがなければ、気持ち悪さだけが残る。ケビン・スペイシーの死に行く様に敬意を表して7点。
【神谷玄次郎】さん 7点(2004-04-01 21:02:21)
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