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《ネタバレ》 この映画の好きなところは、さりげないところだ。音楽も台詞にも大げさなところがない。大げさなのが悪いというのではなく、本当に伝え方が上手なのだ。人々の小さな動きの中から何かを発見した時少し嬉しくなる。どんな時でも、それが辛くても、悲しくても、悔しくても、あるいは飛び上がりたいほど嬉しくても主人公イロナの表情はさほど変わらない。いつもやんわりとした空気のなか、カウリスマキの持つ優しい目線と、なぜだか笑みが漏れる独特の「間」が色々な出来事を上手に伝えてくれる。夫婦して一気に職を失う結構悲惨な物語なのだ。「38歳?いつ倒れてもおかしくない。」なんてことを言う失敬な男まで出てくる。でも事の流れはいつも穏やかだ。老舗レストランの最後の夜の様子や、ローンで買ったテレビが運び出されるシーンなど、寂しさとおかしさと優しさが同居している。最後はハッピーエンドで、でもやはりさりげない表情の主人公を映す。しかしその後亡くなった友人へのメッセージで締めくくられており、切なさで胸がいっぱいになってしまった。
【のはら】さん 8点(2004-03-30 19:32:14)(良:1票)
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