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オリビエ扮するゼルを見つけて叫ぶ老婆の白い天使という徒名は、ヨーゼフ・メンゲレの「黒い天使」がモデルだね。事実ボリピアに住んでいたし。枯れたヒマワリが象徴する、故国ドイツに似た湖畔の隠れ家。記憶の風化につけ込んで米国社会に根付こうとする勢力。歴史の犠牲者を忘れないぞ、という「良心」を感じた作品。マラソンに凝っているホフマンが、汗だくのまま受講資格の難しいリーゼンサール教授の講義に出席し、質問に心密かに応答するシーンや、「米国での圧政の歴史」が大学院課程のテーマだ、と述べるのも父親を自殺に追い込んだ偏見への怒りと、その時弟子で今はコロンビアの教授であるリーゼンサールへの挑戦の気概と観る。事実、教授は後で彼の苦境を恥ずかしそうに助けようとするしね。医師であったメンゲレとの対比か、ゼルが歯科医という設定は御愛敬。ロイ・シャイダー扮する兄が、年上女の嘘を見破るシーンも、裏家業を隠して弟を思う気持ちが出ていた。兄弟二人とも苦学したのだろうしね。こんなしっかりした作品を誰かまた作ってくれないかな。
【Russianblue】さん 8点(2001-07-22 14:00:28)
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