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自分と生理的に一番波長が合う大好きな監督、成瀬巳喜男の夫婦物ジャンルものの秀作。小津映画での折り目正しい居住まいで、約束事のように静かに微笑み、涙ぐみ、たたずんでいるだけの原節子よりも、この映画や『驟雨』での、ごく自然な感情のままに振舞う「倦怠期を迎えた妻役」の彼女が、数十倍魅力的だと思う自分はやはり少数派なんでしょうか?成瀬映画の「原節子」が語られる事があまりないのは、ちょっと寂しい。彼女の映画、結構数多く見てきたけど、この二本の彼女が人間くさくて好きなんだよなあ・・・。あ、あといま一本、木下恵介監督「お嬢さん乾杯!」の彼女もメチャクチャ素敵でしたね。この映画にも、成瀬映画の紋章みたいに登場してくるチンドン屋と、常連オバサン女優中北千枝子の顔が出てくるだけでなんか嬉しくなる。女流シナリオ作家の脚本だけあって、ところどころに女性目線の台詞が散りばめられていましたね。特に知り合いの娘(島崎雪子)が家に滞在する事になった時の「・・・お米足りるかしら?」と、米櫃を覗き込む原節子の台詞に妙に感心。なんて事はない一言台詞なのになあ・・・。
【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-11-07 11:25:11)(良:1票)
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