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ヘンリー・フォンダが壮年期だった頃のアメリカ、そして今のアメリカや日本でも共通していると思いますが、国選(アメリカでは公選)弁護人がもらえる報酬というのはすごく少ないんだそうです。特に殺人事件なんて任されたらウェイターやったほうが儲かるどころかまともに取り組んで労力と時間を費やしたら最低賃金を割ってしまうほどなんだそうです。ましてや、この映画の被告人のような英語が不自由で貧しいマイノリティーが殺人を犯したら・・・法廷では通訳がついても弁護士にはつかないでしょう。だから、調査はちゃらんぽらん、「物的証拠がない限り推定無罪」なんて刑法適用上の原則もめちゃくちゃにないがしろにされて、「こんなやつは虫けら同然。死んでも自分にとっては痛くも痒くもない。だからこいつを犠牲にして一件落着にしてやろう。」なんて弁護人も証人も思うようになってしまうのです。こんな状況において陪審員が頑張らなければ誰が無実の人を救うんでしょうか?陪審員が何とかしなければ結果は火を見るよりも明らかです。この映画は検察庁(弁護人と異なって給料をもらっている検察官や通訳者がいる)に代表される国家権力と個人が犯罪行為をめぐって対峙した場合における「疑わしきは罰せず」という刑法の大原則、あるいは法治国家の原則を示している教科書です。 なぜ十二人の陪審員が「怒れる男」なのかわかっていただけるでしょうね。
【かわまり】さん 10点(2004-01-27 14:52:51)(良:1票)
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