| 作品情報
レビュー情報
この映画は何度も見ましたがわけがわからず、レビューを敬遠していました。最近ベルギー映画の「仮面の中のアリア」をスポーツ根性ものとして見たと書いてみたのでこの作品もその線でいきます。ただ、通常のスポコンものでは主人公は自分が選んだ道で成功しますが、ここでは人間性の回復において勝利する(ことになっています)。音楽ファンとしてはあまりいただけない話です。なぜかというと主人公の父親が息子の尻をたたいて弾かせるのは演奏技巧をみせびらかすためのようで、サーカスで曲芸をさせるのとそう変わらないし、その上「この子はモーツァルトなんて初心者向きのものは弾きません。」なんていう暴言まで吐くからです。また、父が主人公の留学に反対する理由もわからないし、留学後に主人公が精神錯乱に陥る理由もわからない。オーストラリアに送り返された後でもまだ狂っているのだからホームシックでもない。でも主人公の心の謎が全部簡単に説明できるようだったら世の中に精神病院は必要なくなりますよね。人間という捕らえどころのない存在、主人公の心の闇を演じきってアカデミーの主演男優賞を受賞したジェフリー・ラッシュと助演男優賞にノミネートされた父親役のスタールに敬意を表して超甘の点数をつけます。なお、妻や友人の愛情や友情による人間性の回復という結末はこの作品の原作者が実在の主人公の妻だということで何だかセンチメンタルなこじつけのような気がします。アカデミー賞の授賞式でピアノ演奏を披露した本人はやはりどこか変でした。
【かわまり】さん 8点(2004-01-27 13:16:48)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |