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映画会社の都合で大幅にカットされてしまったことが返す返すも残念な作品。特に悲劇のヒロイン那須妙子を演じた原節子の真に迫った演技は「原節子は美貌だけのダイコン」あるいは「いつでも意味不明な薄笑いを浮かべて演技する女優(注:わたしが知る限りでは小津安二郎監督の作品ではそうでも黒沢明監督の作品ではそうではありません。多分、小津の指示で作らされた表情だと思います。)」などの酷評を払拭して余りあるものです。原作未読で鑑賞した後、目下原作を約半分読破したところですが、優れた文学作品というものは優れた映画監督と俳優の手にかかると背景、音楽などが文字による説明の欠如を補って原作と対をなす別種の芸術作品になります。もしも、松竹映画会社が先々ディレクターズカットのDVDなるものが一般家庭で堪能されるようになるとわかっていたら・・・編集前のフィルムが全て残されていたら・・・黒沢に編集のチャンスが再度与えられていたら・・・その作品は10点満点になっていたと思います。嘆いても甲斐のない幻の作品と本作品それのみに対する大方の鑑賞者がつけている点数のちょうど真ん中の点数を進呈します。
【かわまり】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-01-12 12:48:37)
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