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僕は父のようになりたかった男だから、父と同じようにはなりたくないというニック・ノルティ演ずる中年男の気持ちは、なかなか自分のものにできない。けれど、この作品がもたらす独特な雰囲気に浸っていると、いつの間にかその気持ちを当然だと受け入れられるようになる。それはストーリー展開の力ではなく、メタファーに富んだ演出の力によるものだと思う。一面に雪が積もった世界は冷え切った親子関係のメタファーであり、歯痛による苦悩(Affliction)は男が感じている抑圧のメタファー。そして、その歯痛の原因である歯を自ら抜くことがまるで合図だったかのように、それまでゆっくりと進んでいた物語が、急速に破滅へと向かって転がりだす。確かに地味だし、あまり知られていない作品ではあるが、精神を病んでいく過程の陰鬱さが、独自の魅力にまで昇華された見事な一本。
【眠い悪魔】さん 6点(2004-03-11 02:43:01)
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