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《ネタバレ》 メリエスの3D部分が観たくて行きました。ま、それなりに飛び出てましたね(笑)。
んが。なんですかこれ? 三丁目の夕日風味のアイアンマン? ハリー・ポッター風味のエド・ウッド? …いやま、言いたいこと・やりたいことはわかるんですけどね。「それをイタリア系アメリカン人のスコセッシ監督が撮るのはどーなのよ」っていうクエスチョンが終始頭の中を巡っておりました。 シナリオ…というか原案はいい仕事してます。というか今の時代にも通じる「夢も希望も持たない少年(=天使)が世界を支え、観察している」という凄まじい構図が冒頭で提示され、物語以外の部分は本当に素晴らしかった。軽~いジャブで贈る、欧州キリスト教世界へのレクイエム。 でもね、その暗喩が活かしきれない。もんのすごくキッチリとパーツを設置してある割には噛み合わない。 例えば(というかきっと元の脚本では)ヒューゴ君は鉄道警察に捕まって一晩幽閉されるんじゃないかと思います。当時も今も、駅は時計が命。正確な時間がわかるからこそ正確なダイヤが運行できる。メンテナのいないまま翌朝を迎えた駅は、当然レールのジョイントから機関車のウォームアップから、全てが狂っていき…やがて…。 全ての記号を集約させる事ができるそのイベントをやらなかったのは、何でなんだ。前半を見る限り、確実にそこを目指してパーツが設計されていたのに。 第一次大戦とは、機械のように駆動し続けていた欧州の政治が連鎖的に破綻していった、けっこうメカニカルな事件。アグレッシヴな悪党が跋扈する第二次大戦とは光景が違います。そしてこの作品は、まだどん底までは行っていない第一次大戦後の人々のメンタリティを、駅の視点から俯瞰してくれる。オイラはこのエキナカの居心地の良さ、やはり大事故による破局を想定して作られてるとしか思えないんだよなあ…第一次大戦の再現というかそんな意味合いで。 ちなみにそういう記号部分も含めた上で、同時代の同テーマ+主人公の立ち位置という意味合いでほとんど『ミツバチのささやき』に内容がかぶります(スコセッシ監督が意識してるかどうかは不明だけど、メリエスのくだりは隔世遺伝的に『キャット・ピープルの呪い』にも接近)。なので先達と比べちゃうと…ダメダメですなあ。 メリエスへの敬意で、一応この点数だけはキープさせてもらいますが。 ●2日後の追記: 映画=天界のメタファーを語る上でもうひとつ重要な作品があるのを忘れてました。『ニュー・シネマ・パラダイス』。そうか、アレを意識したから無罰的な展開が必要だったのか…イタリア人だねえ…。 【エスねこ】さん [映画館(吹替)] 4点(2012-03-18 22:05:42)
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