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ストリート・オブ・ファイヤー のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ストリート・オブ・ファイヤー
製作国
上映時間94分
劇場公開日 1984-08-11
ジャンルアクション,ドラマ,青春もの,音楽もの
レビュー情報
この世の天国ハリウッドには「甘やかしちゃイケナイ監督」ってのがいる。カーペンターとかサム・ライミとかあーゆー輩だ。チョイと当たってカネを手にした途端、大手の言うがままに「オシャレな画面造りを目指さなきゃ」「有名俳優を使いこなせてこそ名監督」「ラブストーリーは必須でしょ」「お客は笑いを求めてるんだよ、笑いを!」…どんどん才能を枯らしていくという(涙)。カーペンターもライミも、ポパイ刑事のごとくリハビリを重ねて一回り大きくなり、大手を見下して自らの立ち位置へ戻る事ができた。しかし、ついに戻って来なかったのが彼らの先輩、ウォルター・ヒルだった。それまでの彼は、アドレナリン過剰気味の初期作品『ザ・ドライバー』『ウォリアーズ』、そして彼の独特な映画観をキッチリ守って製作した『エイリアン』と、ヒットメーカー(またはお騒がせ映画人)として独自の立ち位置を確保していたのだ。そんな彼が始めて大手にすりより、観客におもねって作った本作。それまでのパワーがヌルいギャグに、無理なラブストーリーにと分散されて、本来のバイオレンスに集約できないもどかしさ。もちろん映画はヒットしたが、実は話は逆なんじゃないのか。本作がヒットしたのが原因で、彼の目が狂っていったとしか思えないです。この後、ヒルは『クロスロード』で従来路線(しかも音楽によるバイオレンス!)に戻ろうとするが、完成度の高さとは裏腹にヒットしなかった。多くの観客にとっては、もはや大手に飼われたヒットメーカーである彼に、かつての狂犬のような危ない魅力は求められなかったのだろう。以後の彼は従来のハリウッド的な「ほどほどバイオレンス」路線に従った、ヌルい映画しか監督または製作していない。野球のユニフォームにバットを持ったギャング団も出てこなければ、場違いなピックアップトラックでカーチェイスする弾けっぷりもなくなった。ヒルとライミの違い、ハリウッドを呑むか呑まれるかの違いはそこにあるだろう。オイラは、これが素晴らしい映画だってのをわかっていても、それでもこの映画を評価する事はできないですな。これはお金という魔物に負けて自らを葬った、一人のハリウッド人の華麗な墓石です。
エスねこさん [映画館(字幕)] 2点(2005-05-29 17:33:41)
その他情報
作品のレビュー数 148件
作品の平均点 7.40点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
221.35%
332.03%
496.08%
5138.78%
6149.46%
72919.59%
83020.27%
92617.57%
102214.86%
作品の標準偏差 1.93
このレビューの偏差値 35.56
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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