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きれいな映像はほとんど皆無、汚くってみっともなくて、泥臭さの漂ってくるような映画。嘔吐の場面が四回もある(笑)。でもたまにはこんなとことんかっこ悪い映画があっていいと思う。映画に限らず、多くのドラマというものは、苦悩や悲劇ですらかっこいい。主人公たちが辛い思いをしていても、それなりに格好がついている。だけど、現実にはそんなええかっこばかりでは生きていけないもの。辛いことがあれば酒飲んでゲロを吐くこともある。地面を這いずってでも生きていくことにしがみつく、なりふりかまわない強さ。主人公は劣等感の塊ではあっても、ネガティヴになってくよくよ悩むことはない。嫌なことがあれば大声で泣きわめき、とりあえず忘れて全力で逃げる。彼女の常に前に進む姿があるからこそ、この深刻な物語が暗いトーンに支配されることはない。彼女の身体の奧から湧いてくるようなエネルギーには爽快感すら覚えた。「どんなに滑稽でもいい。とにかく生きろ!」――監督の力強い応援の声が聞こえてくるかのようだ。快作。
【no one】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-12 14:53:01)
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