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開始十五分で七十人が生きたまま喰われたのにはちょっとびびったが、面白かった。キレイ目のクラウザーさんみたいな魔界の王子に率いられた怪物たちはいずれもユニークで、いかにもこの監督らしいデザインの「歯の妖精」や、『もののけ姫』の影響がもろに出ている森の精霊などは楽しかった。それに対して主人公は怪力で銃を振り回しているだけ、外見以外これといった特徴がなく、むしろさまざまなキャラクターを見せるための狂言まわし(引き立て役?)に回っているのがヘルボーイの面白いところだ。『忍たま乱太郎』の乱太郎みたいな。単純に楽しめる作品だが、出来の悪い第一作を観ていないとわかりにくいのがもったいない。
しかし怪物たちの造形や独特の美的センスはすごいけれど、物語は普通だ。異形のヒーローたちが差別とアイデンティティに悩まされるのもアメコミとしてはいたって凡庸。ヘルボーイもエイブも親しみやすく憎めないキャラクターではあるものの、感動を与えてくれるほど厚みある存在ではなかった。普通なら泣ける場面も、平板なメロドラマになってしまっている。デル・トロ監督は精緻な世界観を構築するのが第一で、作品を通してこれだけは伝えたいテーマみたいなものはないのかもしれない。それは必ずしも悪いことではないけれど、ちょっぴり物足りないのも事実だ。 【no one】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-06-01 11:32:16)(良:2票)
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