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《ネタバレ》 世の中には、深刻ぶって、もったいつけて、いかにも高級そうな顔をしながら、実に薄っぺらい「名画」がたくさんありますが、
この映画は、それとはちょうど対極。 薄っぺらい顔をしていながら、とっても深い。 それに、構成も、よくできています。 古沢良太という脚本家は、駄作も多いですが、時々こういう傑作を作ってくれるから目が離せません。 エイプリルフールの日を舞台にした群像劇ということで、いろいろな角度から、徹底的に「ウソ」というものを描いていきますが、その視点の複雑さと深遠さは古沢脚本ならでは。 日本には「嘘から出たまこと」という慣用句がありますが、この「まこと」とは何でしょう? そもそも「ウソ」とは何でしょう? 僕たちは「ウソ」と「ウソでないもの」を、どのように区別しているのでしょう? そういうことをたくさん考えさせられました。 「泣かせよう」としているシーンが目白押しで、まんまと大号泣してしまうのですが、 単なるお涙ちょうだいのように見えて、その裏に多層的なテーマが隠れています。だからこそ、これだけ泣けるんですね。 こういう映画って、「どことどこがつながるか」ということが、途中でおおよそ読めてしまうものですが、これは読めなかったです。 「そういうことか!」と、最後までうならされました。 何がウソで、何が本当かなんて、その事柄に真剣に向き合えば向き合うほど、実はわからなくなる。 だったら「幸福」につながるものを「本当」だとしてしまえばいい。 そういうメッセージが、よく伝わってきて、感動しました。 「宮内庁」にビビる人たちの描写が大げさで、ここだけは良くなかったです。 【コウモリ】さん [DVD(邦画)] 9点(2016-04-02 11:54:52)(良:1票)
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