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《ネタバレ》 映画館での4Kリマスター上映。1974年(50年前!)の作品ですが、映像の精度も高く、効果音や音楽のバランスも古さを感じさせない。とくに、ラストのチャイナタウンのシーン。暗い闇のなかに浮かび上がるチャイナタウンの灯のコントラストが素晴らしく、去って行く車と銃声、そして響くクラクションと悲鳴へのシークエンス。ここは4K版を劇場で見てよかったと思わせるクオリティでした。
映画の内容は見事。ジャック・ニコルソン演じる探偵とともに、勃興期ロサンゼルスの水道利権、権力と欲、暗躍するギャング、緻密に罠が張り巡らされた物語を追体験していく。飄々としながらも失意に終わった過去(これが表題の「チャイナタウン」として繰り返し語られる)と向き合う主人公、立場が二転三転するヒロインのフェイ・ダナウェイ、怪演と呼ぶにふさわしいジョン・ヒューストンなど、印象的な登場人物たちの謎めいたやりとりを楽しんでいるうちに、徐々に事件の核心へ。 初見時は、いつ『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』的な中国マフィアが出てくるのかとドキドキしながら見ていたものでした。でも、結局事件には「中国人」が絡むことがないまま、単にラストシーンの舞台になるだけ。ただ、作品内では探偵ジェイクの苦い過去として言及され(ただし、具体的に何があったのかを語らないのが、この脚本の優れたところ)、ままならない、容赦のない現実のメタファーとして機能している。だから、主人公がいろいろ奮闘したのに結局は最悪の結末が訪れるラストが「チャイナタウン」の遠景で終わるのは、なんというか現実の残酷さをしみじみと感じます。 「怠けものの町」というのは、誰も自分のやるべきことを果たさない場所、ということでしょう。ロサンゼルスは、辺境の砂漠で都市計画もろくにないまま、鉄道・水道・道路などのインフラを押さえた権力者たちの手によって作られた都市。その権力のもとでは、警察も議会も結局はなすがまま。その構造を知らしめるラストシーンであり、不気味な権力の構造を示す言葉が「チャイナタウン」なのでしょう。もちろん、今だったらそんな特定の民族を対象にした比喩なんて難しいでしょう。その暴力性がもたらす危うさに複雑な感情は持ちつつも、見事なストーリーテリングにすっかり魅了されてしまったのでした。 【ころりさん】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-11-26 21:50:54)《新規》
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