| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 こんなはずじゃなかった感じの大学生活。自分には何かが足りない。そこでハッと出会ってしまった美しい本。その強奪を企てることでだんだん生き生きし始める。ニューヨークに行ったときの解放感と「今を生きてる」感のある表情。でも計画は? なんと古今の犯罪映画から学ぶ。このあたりから何かがおかしい。なぜお前?という仲間が加わり、少しずつ不協和音が見え始め、徐々にことの重大さに気づきはじめる。彼らに一線を越えさせたのは何だろう。その答えは、彼らがあまりにも普通だったからかもしれない。普通じゃないことを求めてしまうことの普通さ。その普通さに真っ直ぐすぎたことで、何度も引き返すチャンスがあるのにそれを逃してしまう。そこには、アメリカン・ニューシネマのようなアウトロー的格好良さも、オーシャンズ的な華麗さも微塵もないけれど、普通の人たちの犯罪物語という意味ではどんな過去の映画よりも「リアル」味があり、そして切ない。あの強奪のシーンの頃には「おバカコメディ」とは言えないくらい感情移入してしまい、一緒に胃に穴が空きそうな時間を過ごし、そしてFBIの突入に少し安堵する。終始登場する「本人」たちも効果的。食い違う証言、みんな少しだけ自分を偽り、事実を虚飾している。それも含めて「普通の人々」の<真実>の姿を厳しくも、でもどこか暖かく包み込む。いやあ、いい映画を見た。
【ころりさん】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-12-07 21:39:14)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |