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《ネタバレ》 配信で連続ドラマにはまり、その後のスペシャルドラマを経て、映画版までたどりつきました。ドラマ放映時の2016年には「有望若手」だった出演陣も、今やほぼ全員が主演級でしかも演技派ぞろい(ドラマ版で濃いめの脇役だった北村匠海さんが一瞬だけでも出てくれたら最高でしたが)。そのキャストのみなさんがクドカン脚本をテンション高めに演じているのを見るだけで楽しい。「インターナショナル」という副題で危惧していた、ドラマ映画版にありがちな海外ロケなどのこっちが求めていない「豪華さ」を追及する方向にいかなくて、これもひと安心。それでいて、Z世代やリモートワークなどのコロナ禍以降の社会の変化も盛り込み、ちゃんと「インターナショナル」な物語になっているのはさすがです。柳楽優弥さんの中国配信キャラは(ちょっとくどいけど)インパクト大。新キャラでは木南晴夏さん演じる韓国人上司「チェ・シネ」さんが最高で、異文化コメディとしても楽しい上に、多言語エリートの苦悩やセクハラ問題をドラマチックに入れ込んでくるあたりには感心しました。
ただ、やっぱりドラマ版があっての映画であることは確か。基本的には「あのキャラたちにもう一度会える」がコンセプトの作品なので、2時間の映画として考えると物語の流れもバランスもよくない。これはドラマ版でもそうだったのだけれど、実は「ゆとり世代」というテーマはほとんど物語に関係なくなってしまっていて、「これだからゆとりは」という台詞を入れ込む程度。それから今年のドラマ『不適切にもほどがある』でも話題になった、クドカンの近過去への懐古趣味と現代の社会課題へのシニカルな視線はこの作品にも反映されていています。ただ、LGBTQをめぐるエピソードは、子ども世代の性的アイデンティティという論争的なテーマに突っ込んでいく割には表層的に取り上げるだけで、正直「こんなかたちだったら取り上げない方がよかったのでは?」と思ってしまった。「ゆとりモンスター」山岸(仲野太賀さんも最高)の部下にあたる「Z世代」についてはほとんど回収されないまま、ほぼステレオタイプ描写だけで終わってしまったのも気になる。結果的に「ゆとり以降」への描き方は「シニカルな揶揄や突っ込み」に終始して、物語としての広がりを欠いた印象を与えてしまったのは残念でした。ラストでは「つづく」とあったけど、また同じような話になるんだったら、映画じゃなくてドラマで十分じゃないかな(それじゃ出演料回収できないかな・・・)。 【ころりさん】さん [インターネット(邦画)] 5点(2024-12-12 07:04:34)《新規》
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